何らかの形で奨学金制度を利用する大学生の数は年々増えています。2022年度の日本学生支援機構の学生生活調査によると、大学学部55.5%・修士課程51.0%・博士課程58.9%と半数を超えました。
しかし、奨学金制度は返済が大変というマイナスのイメージもあります。
また、「手続きがよくわからない」「自分に資格があるかどうかわからない」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は医学部の学費免除の方法について解説します。記事の後半では、奨学金制度と特待生制度との違い・利用する際の注意点についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
本記事が、医学部受験をする方の学費工面の一助となれば幸いです。
目次
- ○ 医学部の学費が免除される方法は?
- ・大学入試で優秀な成績を収める
- ・都道府県地域枠入学試験に合格する
- ・家庭の世帯収入によって免除されることもある
- ○ 奨学金制度を利用する方法
- ・貸与型奨学金
- ・地方自治体の給付型奨学金
- ・病院ごとの給付型奨学金
- ・都道府県の給付型奨学金
- ・大学ごとの給付型奨学金
- ○ 医学部の学費はどのくらい?
- ・国立大学の場合
- ・公立大学の場合
- ・私立大学の場合
- ○ 奨学金制度と特待生制度を利用するときの注意点
- ・貸与型の場合は返済が必要であることを認識する
- ・奨学金の返済金額と期間を考える
- ・就職してからの規約があることがある
- ○ 奨学金制度と特待生制度の違いを理解し自身に合うものを検討しよう
医学部の学費が免除される方法は?
医学部の学費免除の方法には、特待生制度や奨学金を利用するほか、大学無償化の対象となるなど、さまざまな方法があります。
学費以外に生活費なども家計に負担がかかってくるため、医大受験生を持つ親御さんとしても興味があるのではないでしょうか。
ここからは、学費免除の具体的な方法について解説します。
大学入試で優秀な成績を収める
学費が免除される方法として、大学入試で優秀な成績を収め、その大学の特待生を狙う方法が挙げられます。
医学部に特待生制度で合格した場合、成績に応じて入学金や学費が免除され、授業料の減免が受けられることがあります。
また、奨学金制度と違い、学生の経済状況は選考の際に影響しません。受験を希望する大学の特待生制度の情報は必ず収集し、対策を練っておきましょう。
都道府県地域枠入学試験に合格する
地域枠入試は、出身地や卒業後の勤務地域などの条件を設けた入学試験です。医師不足が深刻化している地域で活躍する医師の養成を目的としています。
多くの大学が地域枠を設置しているので、興味がある方は調べてみるとよいでしょう。
ただし、特定の年数は指定された地域で働くことが必須条件です。
家庭の世帯収入によって免除されることもある
大学無償化制度を利用すると、年収3,800,000円以下の世帯では学費が免除されるなど、家庭の所得に基づき授業料や入学金の減免が受けられます。
さらに、2025年度からは子ども3人以上の多子世帯は所得制限なしで大学の授業料や入学金が無償化されます。
医学部など6年制の学部も対象なので利用してみてはいかがでしょうか。
また、JASSOの給付型奨学金も経済的に厳しい家庭の学生が対象となります。家庭の収入が少ないほど、支給額も優遇されるのも特徴です。
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奨学金制度を利用する方法
奨学金には給付型と貸与型があり、貸与型には、返還時に無利子のものと利子が付くものがあります。給付型は対象人数が少なく難関ですが、返済の心配がありません。
ほかにも、地方自治体・病院・大学などの給付型奨学金もあり、対象者・支給額・期間に関しては、各団体によってさまざまです。
ここからは、実際に奨学金制度を利用する方法を解説します。自分に合った奨学金を探し、申し込みを検討してみましょう。
貸与型奨学金
JASSOでは、家計基準・資産基準・学力基準を満たした大学生を対象に貸与型奨学金も用意しています。
JASSOの貸与奨学金確認書などの様式は、在学中の高校などで配布される申し込み資料を確認しましょう。
通常、4月以降(5~7月)に貸与奨学金の申し込み手続きを行うと、10月頃にJASSOから通知がきます。
大学によって以下のような月額貸与が受けられるので、参考にしてください。
・国公立大学の場合:自宅通学29,200円・自宅外通学66,700円
・私立大学の場合:自宅通学38,300円・自宅外通学75,800円
給付型奨学金と一部貸与型奨学金を借りることで、親の仕送りなしで卒業できたという医学生もいます。貸与型奨学金は返済の義務がありますが、必要であれば検討しましょう。
地方自治体の給付型奨学金
地方自治体や市区町村など地方公共団体等が行う奨学金制度です。
種類はさまざまで、居住地・学校の所在地だけでなく、出身地や保護者の居住地から支援を受けられる制度もあります。
地方によっては受験までの塾の費用などの教育費も支給される場合もあるので、覚えておくとよいでしょう。
例えば、東京都では受験生チャレンジ支援貸付事業として、東京都福祉保健局などが受験生の塾の費用などを貸付けしています。
このような地方自治体の給付型奨学金については、JASSOのサイトから地域を複数選択できるので、検索してみましょう。
病院ごとの給付型奨学金
病院が学費を支援してくれる奨学金制度として、病院奨学金があります。代表的なものは地域医療推進機構(JCHO)の奨学金です。
この奨学金は日本国内の医学生を対象に、将来、地域医療推進機構の病院の常勤職員として働くことを前提に支給されます。
給付額は、病院により月200,000~300,000円と異なりますが、ほかの奨学金と比べてもかなり高額なため視野に入れるとよいでしょう。
卒業後は、貸与元のJCHOの対象となる病院で一定期間勤務することで返済免除となる仕組みです。
都道府県の給付型奨学金
各都道府県がそれぞれ設けている奨学金制度で、自治体によって月額平均10,000~50,000円を給付しています。
成績や家計の状態によって厳しく採択されますが、支給型なので返済義務はありません。
なお、返済義務のある貸与型もありますが、計画的に借入額を決める必要があります。
大学ごとの給付型奨学金
大学ごとに学費の免除・一部免除や入学金の免除が受けられる制度があります。
一例として東京大学では、経済的理由により学費の納入が困難であり成績優秀と認められる生徒の場合、入学料・授業料が免除または徴収猶予されます。
このような大学ごとの給付型奨学金の対象校については、文部科学省のホームページなどからご確認ください。
医学部の学費はどのくらい?
医学部の学費は、6年間で一体いくらかかるのでしょうか。学費の具体的な額がわからないため不安材料となっている方もいることでしょう。
ここからは、国立・公立・私立大学の医学部にかかる学費を具体的に示しながら、費用面での対策を考えていきます。
国立大学の場合
国立大学の場合にかかる入学金や学費は、以下のとおりです。
・入学金:282,000円
・1年間の授業料:535,800円
・6年間の合計:535,800×6年=3,214,800円
国立大学の医学部は国の予算によって運営されているため、学費は私立大学の約5分の1に抑えられます。
ただし、その分、受験は私立に比べ難易度が高い傾向になります。そのため、普段からしっかり勉強し、受験に向けて対策する必要があるでしょう。
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公立大学の場合
公立大学の場合、施設・設備・諸経費を含む学費は、以下のとおりです。
・入学金:約150,000~300,000円
・1年間の授業料:約530,000~570,000円
・6年間の合計:約3,500,000~4,000,000円
横浜市立大学医学部・名古屋市立大学医学部などは、市内居住者の場合の学費はこれより安くなります。
また、後述しますが地域枠などが利用できる公立大学も多いので、いろいろ調べて併願を検討してみるのもよいでしょう。
私立大学の場合
私立大学医学部の場合、学費の平均は6年間で約35,000,000円かかります。施設や設備の維持費・運営費・諸費用を含む学費は、以下のとおりです。
・入学金:約200,000~2,000,000円
・1年間の授業料:約2,700,000~7,000,000円
・6年間の合計:約20,000,000~45,000,000円
私立医学部は独自の財源に依存しているため、国公立医学部に比べて学費が高くなる傾向があります。
私立大学の学費が心配な方は、さまざまな奨学金制度をリサーチしておき、特待生制度の利用も視野に入れましょう。
6年間の学費を抑えるためには、国公立の医学部を目指し、私立を併願しておくのもよいかもしれません。
奨学金制度と特待生制度を利用するときの注意点
特待生制度は、北里大学や国際医療福祉大学などのように、大学が独自に成績優秀者の上位若干名に与える授業料免除の制度です。
貸与ではなく給付型や減免のかたちをとり、勤務条件や返還義務のないものが多いため、狭き門となっています。
一方、返済の必要のない給付型奨学金を除き、貸与型奨学金の場合は借りた額と利子を返さなくてはなりません。また、年収制限など支援制度の条件に自分が合っているかも気になるところです。
ここからは、貸与型奨学金の返済条件や注意点、卒業後の就職規約についての不安に、順番にお答えしていきます。
貸与型の場合は返済が必要であることを認識する
貸与型奨学金=借金なので、就職後に返済が必要になることを認識しておきましょう。
JASSOの貸与型奨学金には、利息のつかない第一種奨学金・利息の付く第二種奨学金、さらには入学時の一時金として貸与する入学時特別増額貸与奨学金があります。
第一種と二種を併用するなど借入の金額が多くなれば、その分、卒業後の返済負担が重くなるので注意が必要です。
研修医時代は収入が少ない場合が多く、奨学金をたくさん借り過ぎると返済が予想以上に大変になる点も考慮しておきましょう。
奨学金の返済金額と期間を考える
奨学金などの制度を利用する際には、返済金額と期間を考える必要があります。なるべく返済期間を短くできるよう、貸与金額は最小限に利用することが大切です。
医学部の学費は他学部に比べ高額な傾向があり、期間も6年間と長いため、学費以外にかかる費用もしっかり計算し計画を立てましょう。
なお、JASSOのサイトには、貸与型奨学金の返還シミュレーションがあります。
貸与総額・毎月の返還額・返還完了の時期を試算してくれるので、ぜひ活用してください。
就職してからの規約があることがある
就職してからの規約があることがあります。
産業医科大学医学部を例にとると、貸与を受けた期間の1.5倍の期間を産業医などの職務に従事することで、返還が免除される仕組みになっています。
このように、貸付金の返還が全額免除されるためには、医師として一定期間の勤務が必要になることがあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
奨学金制度と特待生制度の違いを理解し自身に合うものを検討しよう
今回は、医学部に通う際に利用できる学費免除の方法について解説してきました。
本来、奨学金とは返済の必要のない給付型の援助のことですが、定員が少ないうえ条件も厳しく実際にはごく一部しか給付されていません。
現実では、約9割の方々は返済が必要な貸与型を利用しています。
JASSOの奨学金制度は20年という無理のない返還期間がメリットの1つですが、貸与額が大きい場合は長期間の返還が負担に感じる場合もあります。
必要な金額だけを借りるようにし、卒業後の返還計画を立てたうえで利用しましょう。
また、特待生制度をはじめ、成績優秀者に対する学費の優遇制度や奨学金制度を設けている大学もあります。
ただし、どの大学も若干名の枠しかないため、狭き門であることに変わりはありません。
横浜予備校では、学習計画だけでなく費用面でのサポートもしています。
具体的には、地域枠や病院・地方自治体からの奨学金を利用した私立大学受験の提案などを行っております。
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