小論文はこれまでに書いてきた作文や感想文とは異なり、論理的な構成や専門的な視点が求められる入試科目の一種です。
事前に対策して、トレーニングを積まなければ合格点に到達は難しくなります。
この記事では小論文の基本ルールや文章の型、対策のコツを解説します。志望校合格に向け具体的な小論文の勉強法が知りたい方はぜひご覧ください。
目次
- ○ 大学入試の小論文とは?
- ・作文・感想文との違い
- ・出題傾向
- ・出題形式
- ○ 小論文の基本ルール
- ・「だ」「である」で統一する
- ・略語は基本的に使わない
- ・話し言葉・擬態語・擬音語を使わない
- ・同じ言葉の多用に注意する
- ○ 小論文の基本的な構成
- ・序論(問題提起)
- ・本論(意見・論拠提示)
- ・結論(まとめ)
- ○ 小論文の対策とコツ
- ・志望校の過去問を分析する
- ・基礎知識をニュースや新聞で身につける
- ・予備校の講師に添削してもらう
- ・問題集を活用して繰り返し練習する
- ○ 大学入試の小論文の書き方
大学入試の小論文とは?
はじめに小論文の定義や主な出題テーマ、出題形式を紹介します。
作文・感想文との違い
小論文と作文や感想文の違いは自分では正しいと信じる主張でも、必ず客観的な根拠やデータを提示する必要がある点です。
大学入試では想いや感情を自由に書き連ねる文章は評価されません。
問いに対して意見や立場を表明したうえでデータや論文を論拠として、説得力のあるロジックを展開する必要があります。
論理性や客観性が何よりも重要なため、小説で見かける文学的な表現の多用は好ましくありません。
設問の具体例を挙げると、提示されたテーマに、「賛成と反対、いずれかの立場で論じなさい」と問われる場合があります。
小論文では意見の立脚点が評価の対象となるわけではなく、主張の内容に関係なく、説得力ある記述ができるか見極められます。
一見正しく見える記述でも、根拠が薄弱で、事実やデータに基づく客観的な文章でなければ評価は受けられません。
自分のなかで正しいと思えるゆるぎない主張を展開して、熱意をアピールしても入試では無駄です。
小論文は論理的な思考力や、初めて出くわす問いにロジカルに回答できる柔軟性が問われます。
出題傾向
小論文の頻出テーマに挙げられるのは志望学科の分野に関する問題や一般教養、将来の夢や志望理由(作文型小論文)です。
例えば経済学部では教育格差と所得格差、数学科なら数式、環境学科なら電気自動車という具合に学部の研究内容と近い事柄です。
一般教養はいわゆる時事問題で、特定の学部だけにとどまらない常識的な知識が問われます。
少子高齢化や環境問題、グローバル化、経済格差をはじめ、これから社会に羽ばたく学生なら知っておくべきトピックが含まれます。
将来の夢や志望理由(作文型小論文)が出題された場合、基本的には自分の本心を正直に記述して問題ありません。
ただし作文に近いテーマでも、根拠や理由、目指したきっかけとなった出来事などに基づく説得力ある主張は必須です。
参考までに作文型小論文の書き方をご紹介いたします。作文型小論文の代表的な書き方は以下のとおりです。
1.「夢」を宣言
ポイントは「〇〇な■■になりたい」と「〇〇な」を入れる事
2.1で書いた夢を抱いた経緯を書く(過去の自分)
3.1で書いた「〇〇な」の部分を達成するための目標を書く(未来の自分)
4.まとめ
出題形式
大学入試の小論文で問われる主要なテーマは次の3つです。
・テーマや問いのみ与えられ、端的な文章で回答するテーマ型
・長文を読んで要約を書かせる課題文読解型
・問いのほか、グラフや図表が与えられる資料分析型
テーマ型では自分の意見を自由に記述できる反面、問いに対する背景知識の有無が合否を分かちます。
課題文読解型は思考力や文章力のほか、課題文を読み解く読解力が問われる方式です。
資料分析型や表やグラフを分析して、論理的な回答を導き出す必要があり、リサーチ力や着眼点が求められます。
横浜予備校では、大学入試の小論文に対応するための多様な指導を行い、各形式に必要なスキルを強化します。
テーマ型では背景知識を深めるサポートを、課題文読解型では読解力や思考力を鍛え、資料分析型ではグラフや図表を論理的に解釈する力を育成します。
また、トレンドを踏まえた最新の出題傾向にも対応し、個別指導で一人ひとりに適したアプローチを提供しています。
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小論文の基本ルール
小論文は基本的に自分の意見を自由に述べてよいのですが、文章を書くうえで守るべき基本的なルールがあります。
前提知識を押さえていないと、いくら論理明快で客観的な回答を書けたとしても落とされる原因となるからです。
小論文を通過するために必要なノウハウを4つ紹介します。
「だ」「である」で統一する
小論文の文体にはです・ます調は使用せず、「だ」「である」にそろえるパターンが基本です。
理由は文字数が少なくて済み、ほかの重要な記述を最後まで書きやすくなるからです。
小論文は、「〇〇〇字以内で回答せよ」と文字数制限を課す問題に出くわす場合が少なくありません。
より多くの具体例やデータをアウトプットすると考えると、文末表現の1文字単位までこだわった内容の濃い文章が求められます。
一箇所でもです・ますが混在すると減点対象となるため、文末の統一にも注意を向けましょう。
略語は基本的に使わない
小論文では略語の記載は原則的に認められず、正式名称で記載する必要があります。
「コンビニ」や「スマホ」のように、日常生活で何気なく省略している言葉は、正式名称で記述することが求められます。
WHOやUNのようにアルファベットの頭文字をつなげた通称が定着している言葉も要注意です。小論文では世界保健機関や国際連合と正式名称で書くのがルールです。
話し言葉・擬態語・擬音語を使わない
文法的に正しく正確な日本語が求められる小論文では、話し言葉は使ってはいけません。禁止表現の代表例は次のとおりです。
・だから
・後
・なのに
・いろんな
・やばい
「だから」は「したがって」、「後」は「また」、「いろんな」は「さまざまな」と言い換える必要があります。
以下に挙げる擬態語や擬音語も、幼稚な印象を与えることから小論文での使用は好ましくありません。
・ダラダラ
・イライラ
・コツコツ
・はっきり
だらだらは緩慢、イライラは苛立つ、コツコツは丁寧に、はっきりは明確になどと表現を変更しましょう。
同じ言葉の多用に注意する
もう一つ小論文で気を付けるべき表現は同じ言葉の多用です。
一文内に寸分の違いもない単語が繰り返し登場すると冗長なうえ、読み手に単調な印象を与えます。
意味が似通った別の言葉に言い換える際には重複表現にも注意が必要です。
違和感を感じる、馬から落馬する、推敲を行うなどは同じ意味の言葉が複数回出てきて、日本語の文法としても誤りです。
限られた文字数の制限下で説得力のある主張を展開するためにも、重複表現は避けなくてはいけません。
小論文の基本的な構成
読み手に伝わるわかりやすい文章に重要なポイントは構成、すなわち順番です。
序論(問題提起)、本論(論拠の提示)、結論(まとめ)の型に沿って、主張を展開する必要があります。
各パートの具体的な書き方や注意点は次のとおりです。
序論(問題提起)
序論は自分の意見や立場を表明し、テーマの定義づけをするセクションです。
生成AIの商用利用の是非がテーマであれば、賛成か反対か、現状の課題や問題点を2〜3行程度で記載します。
例えば「学校教育は一斉授業を止めるべきだ。一斉授業は1人の先生が複数の習熟度が異なる生徒に同じ内容を教える方式である。
しかし、この方法では各生徒の理解力や集中力に合わせられず、全体で考えたときに学習効果が薄くなる恐れがある。」という具合です。
小論文の序論では問いに対する結論を先出しして問題ありません。
結論までもったいつけずに立場や意見をはじめに打ち出すと読み手にわかりやすくなります。序論で方向性を明示できると筋が通った主張がしやすく、論理的な文章を書けます。
本論(意見・論拠提示)
本論は自分の意見に対する論拠を提示し、文章の説得力を高めるセクションです。統計データを引用して主張を補う手法がよくみられます。
インプラントは安全だと主張するなら、金属アレルギーを発症した割合を示す公的な数値データを根拠にできれば、適当な発言ではないと伝わります。
また本論で反論に対して言及すると、文章全体の説得力が格段に増すでしょう。
小論文の問題となるテーマには明確な正解がないため、主題が何であれ、反対意見が存在します。
反論の問題点や持論が優れているポイントを紹介して比較をすることで、主張の優位性を担保できます。
結論(まとめ)
結論はまとめのセクションで、今まで書き連ねてきた主張の総括をします。解決策や今後の目標などテーマに対する回答となるパートです。
結論は序論と重複するケースもしばしばあり、繰り返しの起こりやすさが特徴です。
例えば持続可能な開発がテーマであれば「再生可能エネルギーによる発電割合を増やして、地球に優しい省エネ化を推進すべきだ」と簡潔にまとめることで読み手に分かりやすい印象を与えます
小論文の対策とコツ
論理的で客観的にも正しい小論文の作成は一朝一夕にはいかず、文章を書くトレーニングが必要です。
早い段階から対策をして、十分な準備期間を設けることが合格のポイントです。志望校や学部に関わらずあてはまる小論文の勉強法を紹介します。
志望校の過去問を分析する
小論文の対策では志望校の過去問の活用が王道です。
出題されるテーマは学校や学部ごとに異なり、過去と似た問題がでることも多いためです。
特に理系や技術系の専門的な知識を習得する学科では、まったく同じとはいわなくても、類似の問いがなされる可能性は低くありません。
志望校の過去問を分析した、特定のテーマに向けた対策は小論文の合格率を上げる基本的な戦略です。
基礎知識をニュースや新聞で身につける
文章のトレーニングと同じくらい重要なのは常日頃からの知識のインプットです。
小論文では社会問題や時事問題が問われるケースが多々あり、いかに日常的に新聞やニュースで情報を摂取しているかが極めて重要です。
いくら文章がうまく書けても、主張の根拠となる材料を提示できなければ評価を受けられません。小論文に限らず大学受験では地道な日々の積み重ねが合否を分かちます。
インプットの際には知識の習得にとどまらず、各トピックに対する自分自身の考えを整理しておくとスムーズな文章化につながります。
予備校の講師に添削してもらう
小論文の力を伸ばすには第三者の添削を受けると効果的です。
特に今まで数十人〜数百人の答案をチェックしてきた予備校の講師が適任です。
添削で受けたフィードバックをもとに文章を何度も書き直すうちに、次第と評価される小論文の書き方がわかってきます。
論理的な文章力や根拠の脆弱さなど自分の弱点や苦手を把握できることも第三者によるチェックの利点です。
横浜予備校では無料相談を受け付けていますので、まずはお気軽にお問合せください。
横浜予備校では、小論文指導のプロ講師が丁寧に添削を行い、生徒一人ひとりの文章力を伸ばすサポートをしています。
講師は数多くの答案を見てきた経験をもとに、論理構成や表現の改善点を的確にフィードバックし、文章の弱点を効率的に克服できるよう支援します。
何度も添削を重ねることで、小論文に必要な思考力や表現力が磨かれ、志望校の出題傾向に合わせた対策も可能です。
無料相談や体験授業で、小論文の力を伸ばすための適切なサポートを体験してみませんか。ぜひお申し込みください。
問題集を活用して繰り返し練習する
問題集を活用して文章を書く練習を繰り返すのは小論文の力を伸ばすうえで重要です。
いくら基本的な書き方を頭に入れても、実際にトレーニングを積まないと、文章力や語彙力はなかなか上がりません。
志望大学の過去問と似た形式の問題が多数収録された問題集を利用して何度も練習しましょう。
本番の試験と合わせて時間制限を設けて回答すると受験当日、慌てずに冷静な心構えで臨みやすくなるでしょう。
大学入試の小論文の書き方
大学入試の小論文では序論、本論、結論の型に沿って、データや事実に基づく客観的な文章を書かなくてはいけません。
またである調の統一や略語、擬態語、擬音語の不使用をはじめ、基本的なルールの順守も必要です。
小論文は回答の根拠となる知識を備える準備が求められるため、誰でも簡単に書けるとは限りません。
過去問や問題集で演習を繰り返すほか、第三者の添削を受けることが上達への近道です。
「文章が苦手でうまく回答を作成できない」「客観的で説得力のある文章が書けているかわからない」とお悩みの方はぜひ当予備校までご相談ください。
横浜予備校では、小論文の基本的な型や表現ルールをはじめ、序論・本論・結論の構成に沿った論理的な文章力を身につけるための指導を行っています。
過去問や問題集を用いた実践的な演習に加え、経験豊富な講師による添削サポートを通じて、客観的かつ説得力のある文章の書き方を習得できます。
まずは無料相談や体験授業で、小論文対策のステップを確認し、安心して本番に臨める準備を進めましょう。