国公立大学・私立大学を問わず、多くの医学部でさまざまな特色を持つ推薦入試が実施されています。
今回は医学部推薦入試の種類を紹介し、出願条件や試験内容について解説します。
最後までお読みいただき、自分に合う推薦入試があるのか、推薦入試にはどのような対策が必要なのかを知る手がかりになれば幸いです。
目次
- ○ 医学部の推薦入試の種類
- ・学校推薦型選抜(指定校推薦)
- ・学校推薦型選抜(公募推薦)
- ・総合型選抜
- ・地域枠推薦
- ・卒業生子女枠
- ・国際バカロレア(IB)推薦
- ○ 推薦入試の出願条件
- ・評定平均
- ・現役のみ・既卒対象
- ・各種検定
- ○ 推薦入試の試験内容と対策
- ・書類審査
- ・共通テスト
- ・面接
- ・小論文
- ・学力検査・総合問題
- ○ 医学部の推薦入試を狙うべき人
- ○ 医学部の推薦入試について
医学部の推薦入試の種類
医学部の推薦入試の多くは、合格した場合に入学を前提とした専願入試です。
基本的に複数校を狙えるものではありません。各推薦入試の特徴を知り、狙うべき推薦入試の方向性を考えてみましょう。
上図で示したように、学校推薦型選抜の中に指定校推薦と公募型推薦があり、旧AO入試の代わりとして総合型選抜があります。
また、医学部には地域枠推薦があり、これは学校型選抜(指定校、公募)、又は、総合型選抜で試験が行われます。
どの方式で行われるかは各学校によります。さらに、卒業生子女枠や国際バカロレア推薦もあるのでご紹介します。
学校推薦型選抜(指定校推薦)
指定校推薦は、学校長からの推薦状が必要な学校推薦型選抜の一つです。指定校推薦は、大学が指定した高校の生徒のみが出願可能な推薦方式です。
通常、附属校や系列校以外の指定校内の募集枠は1名〜3名程度です。狭き門である校内選抜を突破した生徒が、大学による選抜試験を受験します。
選抜試験の内容は大学によって異なりますが、共通して実施しているのは面接です。
学校推薦型選抜(公募推薦)
公募型推薦は出身高校に関わらず、大学の出願条件と高校の推薦基準を満たせば応募が可能です。
私立大学では、浪人1年目まで公募型推薦を利用できる大学もあります。
国公立医学部が実施している学校型選抜のほとんどは公募型推薦です。大学入学共通テストで一定基準をクリアする必要があり、一般入試と同程度の学力が求められます。
公募型推薦には、大学が望む人物像を求める特別推薦もあります。
出願条件には、英語資格検定試験の好成績取得者や国際科学オリンピックで好成績を収めた者など他学部とは異なる基準が存在するケースも少なくありません。
総合型選抜
自己推薦による総合型選抜は、受験生の使命感や人間性を重視して評価します。学力以外に優れた功績や能力があること、大学が求める人物像にいかに合致するかを示す自己推薦書を提出します。
高校の推薦は必要ありません。自己推薦書に加え、受験生をよく知る人物の推薦書を課す大学もあります。
推薦書の内容には受験生が医師として成長する資質を兼ね備えているか客観的な視点が求められ、記入者を医療従事者に限定する場合もあります。
当然ながら、総合型選抜の場合でも高い学力は必要です。目安として、高校の評定平均が5段階評価で4以上取れていない受験生の合格は厳しい現状があります。
地域枠推薦
地域枠推薦では、医学部卒業後に指定された地域で一定期間就業する条件のもと入学希望の意思を示します。
出願条件に大学のある地域内の高校出身者や居住者を指定する大学もあります。
地域枠推薦は、深刻な医師不足に陥る地域への対策として実施されるようになった制度です。
医師を育成する段階で、医師不足が懸念される地域の医師を確保することを目的としています。
在学中の奨学金貸与や学費免除を提示している場合もあり、地域医療に貢献したいと考える学生にとっては打ってつけの推薦入試です。
卒業生子女枠
卒業生子女枠は卒業生の親族を対象にした推薦方式です。卒業生は、大学の理念や建学精神を理解して医師となり働いています。
卒業生が医師として働く姿を見て育った受験生には、良医になる資質があると期待し、大学側が募集している制度です。
親族の範囲は2親等〜3親等までに制限しているケースが多く、浪人生も対象に含めている大学もあります。
なお、高校の調査書の提出は必要としつつも、評定平均の条件はない大学が大半です。
国際バカロレア(IB)推薦
国際バカロレア(IB)推薦とは、世界共通の大学入学資格である国際バカロレアを活用した推薦方式です。
国際バカロレア資格を得るためには、プログラムが受けられる認定校に通う必要があります。
医学部の国際バカロレア推薦では併願受験を認めているケースがあり、複数校の受験が可能です。
さらに、国際バカロレアの必要科目の履修での高スコアを条件として大学入学共通テストを課さない国公立大学があります。
大学入学共通テストが免除されるのは、受験生にとっては大きなメリットです。医学部の推薦入試の出願条件や内容は、毎年見直しが行われています。
横浜予備校では、国際バカロレア(IB)推薦を含む医学部の推薦入試対策について最新の情報を提供し、個別に適切な学習プランを作成しています。
国際バカロレアの高スコア取得に向けた学習や、併願受験が可能な大学選びなど、経験豊富な講師がサポートします。
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推薦入試の出願条件
医学部の推薦入試の出願条件は、どの程度のレベルが必要なのでしょうか。
ここからは、推薦入試の出願条件を紹介します。
評定平均
評定平均とは、高校1年生〜3年生1学期までの成績を元に計算された評定の平均値です。
ほとんどの国公立大学は、5段階評価で評定4.3以上を出願条件に設定しています。
私立大学の場合は、3.5〜4.3が目安です(一部、出願条件に評定平均がない大学もあります)。
高校1年生〜高校2年生で評定4.0以下の場合は、高3から成績を上げても出願までに4.3以上にするのは現実的に厳しいかもしれません。
そのため、高校1年生からよい評価をもらえるように努力する姿勢が必要になります。
現役のみ・既卒対象
医学部の推薦入試は、現役生と1浪生までとする大学が過半数以上です。
そのため、現役生と1浪生にとってはライバルが減り、有利になる可能性があります。
一方で、出願条件を2浪生までとしたり、22歳以下や30歳未満などの年齢で設定したりする大学もあります。
各種検定
公募型推薦では英語資格検定の成績を評価するケースがあります。
とはいえ、英語資格検定の種類は千差万別です。推薦入試で対象となる主な英語資格検定は、以下のとおりです。
・実用技能英語検定(英検)
・TOEFL‐iBT
・TOEIC
・IELTS
・GTEC
・TEAP
出願要件にはどの検定も一定のスコアが要求され、得点に応じて評価が加算されます。医学部受験に英検を利用する場合の目安は、準一級以上です。
なお、受験の出願要件とするには、資格取得から年数制限を設けている場合があるので注意しましょう。
ほかにも、東京大学・京都大学では国際科学オリンピックなどの好成績者を出願条件の対象としています。
推薦入試の試験内容と対策
推薦入試の試験内容とは、どのようなものなのでしょうか。
ここからは、推薦入試で行われる書類審査や面接、小論文、学力検査の内容と対策を紹介します。
書類審査
推薦入試では高校の調査書だけでなく、以下のような出願書類をもとに選考を実施します。
・推薦書
・調査書
・志望理由書
・自己推薦書
・外部試験資格の証明書
調査書の記載内容は、学習態度や欠席・遅刻日数、評定平均などです。委員会や部活動、ボランティア活動にどれだけ意欲的に参加したかなども記載されます。
志望理由書・自己推薦書・外部試験資格の証明書は受験生が用意します。志望理由書と自己推薦書は混同しがちですが、まったく違うものです。
志望理由書には、医師を目指す理由や受験する大学の志望動機を記載します。
志望校の特徴を理解したうえでの志望動機を示すと、説得力が増します。
自己推薦書は医師を目指す理由だけでなく、自分が受験する大学が求める人物像に適していることをアピールするものです。
共通テスト
多くの国公立大学と一部の私立大学では、推薦入試においても大学入学共通テストを課しています。
大学入学共通テストの得点について、ボーダーラインを設定する大学と総合的な合否の判定材料にする大学があります。
一般的なボーダーラインの目安は、75%〜85%です。残念ながら、大学入学共通テストの得点がボーダーラインに届かなかった場合は、推薦入試で合格できません。
総合的な合否の判定材料にする大学でも、できるかぎり高得点を狙う必要があります。
面接
面接試験は多くの医学部推薦入試で実施されています。どのような医師になりたいと考え、志望大学を選んだのかを明確にしておきましょう。
自分の理想とする医師像と大学が求める人物像との整合性が大切です。
なお、医学部の面接試験では、医師に必要なコミュニケーション能力を備えているかも確認されます。
医療現場で活躍できる人材を育成する大学側は、医師に必要なコミュニケーション能力が備わっている受験生を求めています。
面接試験で医師としての適性を欠くと判断された場合、ほかの科目の成績に関わらず不合格とする大学もある程です。
医師としての資質が問われるため、志望動機や自己紹介を何度も練習し、明確な回答ができるように準備して臨みましょう。
小論文
小論文で評価されるポイントは、医師としての資質や適性です。小論文試験ではテーマが提示され、テーマに対する意見を述べる形式で出題される傾向があります。
医療系のテーマや時事的な内容が問われる小論文では、背景知識が必要です。小論文の出題傾向や内容は大学ごとに異なるため、大学ごとの個別対策をしなくてはなりません。
しかも、小論文は受験生自身で志望校の基準を満たしているか判断ができません。そのため、答案は学校や予備校の教員による添削を受けましょう。
テーマの背景知識を広げるため、ニュースや医療関連の資料に目を通すことも役立ちます。
学力検査・総合問題
ほとんどの私立医学部の推薦入試では、英語・数学・理科の基礎学力を測る学力検査・総合問題が設定されています。難易度は大学によっても異なりますが、大学入学共通テストを目安にすると75%以上の得点力は必要になると考え、基礎学力の定着に取り組む必要があります。
医学部の推薦入試には、志望理由書や自己推薦書の作成・面接対策・小論文の添削など志望校の傾向に沿った専門的な分析と具体的な対策が必要です。
横浜予備校では、医学部推薦入試に向けた基礎学力の定着と、専門スタッフによる志望理由書や面接・小論文対策などの徹底指導を行っています。
大学ごとの出題傾向を分析し、一人ひとりの学力や目標に応じたプランを提案するため、効率的に準備が進められます。
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医学部の推薦入試を狙うべき人
医学部の推薦入試に合格しやすい受験生は、入学してからも努力を惜しまず勉強にいそしみ、他者に対する優しさと思いやりのある人物です。
求められる高校の評定平均が高いのは、勉学にいそしみ、ほかの学生の模範になるような姿勢があるかどうかの指標になるからです。
面接試験で初対面でも好印象を残せる受験生は、コミュニケーション能力も高く適性があると判断されやすいでしょう。
また、卒業後の就業地域や年数の指定がある推薦入試は、地元医療への貢献を志すか、特定地域での医療活動に意欲がある生徒が向いています。
医学部の推薦入試について
推薦入試では、学力に加えて受験生の人間性や医師としてのポテンシャルが重視され、早期に合格が決まる点がメリットです。
また、一般入試のように高得点を狙うプレッシャーが少ないため、精神的な余裕が持てる点も魅力です。
一方で、合否基準が明確ではなく、問われる内容が大学ごとに異なるため、志望校の入試内容に合わせた対策が必須となります。
不合格だった場合は一般入試に集中するため、学習スケジュールの調整が難しくなる場合があります。
一般入試の対策もしながら、推薦入試の合格を目指すには限られた時間での効率のよい勉強方法が不可欠です。
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以下に横浜予備校が考える推薦入試、一般入試のスケジュールをご紹介します。参考にしてもらえればうれしいです。
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