文系受験生は数学2B、理系受験生は数学3Cまでが入試で要求されます。今回は、それぞれの分野の特徴を解説し、得意を作っていくためのヒントを紹介します。特に自分が苦手な分野がある場合は、どのようなポイントに注意すれば良いかを確認してみてください。
目次
数学1
数学1では、高校範囲の数学を学ぶ上での基本となる考え方や計算を学習します。数学1の中で苦戦する学生の多い単元は、「二次関数の最大・最小」と「三角比」です。前者においては、高校数学で頻出の場合分けについて学びます。適切な場合分けの仕方を練習することで、複雑な問題でも正しい範囲設定ができるようになります。三角比の方は高校で初めて出てくる概念なので、まずは性質に慣れることが大変です。ここで学習を怠ると、数学2で三角比を拡張した三角関数が出てきた場合につまずくことになりかねません。先を見据えて、知識を積み上げていくことが大切です。
数学A
数学Aは、受験生の数学の力が浮き彫りになる単元です。具体的な内容は、「場合の数」、「確率」、「図形」、「整数」です。これらの単元では、単純な解法の暗記だけでは対応できない応用問題が多く、特に難関大学では一筋縄では行かない問題が出題されやすいです。教科書を中心に基本となる事項を抑えたら、次の段階として、時間をかけて難問に取り組む練習をしないといけません。東大や京大などの整数が出題されやすい大学を受験予定ならば、重点的に対策をして得点源にできるようにしたいところです。
数学2
数学1の知識を元に、新しい計算手法を学んでいくのが数学2です。「指数関数・対数関数」、「三角関数」、「微分・積分」などがその代表です。関数の範囲は、今までに見たことがない新しいグラフや式を解釈していかないといけません。数式の理解だけでなく、常にグラフをイメージすることが重要ですが、これができずに問題を解けなくなっている学生は多いです。微分と積分は、仕組みさえ理解してしまえば計算は複雑ではないですが、深く内容を理解するのは大変です。微分や積分が何を表す考え方なのかを明確に理解することを目標に、学校の授業を聞いたり問題演習に取り組んだりすることが重要です。
数学B
数学1や数学2は、高校で初めて学習する考え方は出てくるものの、方程式を扱うという点では中学校で学ぶものの延長にあると言えます。ところが数学Bでは、これまでに見たことがない概念である「数列」について学ばないといけません。数字の規則的な並びに着目する数列では多くの公式を覚える必要がありますが、この中には特徴的な証明をしないと導けないものが多く、それらも含めて正しく理解するのは一苦労です。また、大学で学ぶ「統計」の基本となる範囲も学習することになります。統計は抽象的な操作が多く、実際に何を行っているかがイメージしにくいです。そのため、深く内容を把握するには、学校や塾の授業等で理解のある人に詳しく習うことが不可欠です。総合すると、新しい概念や考え方を身につけるのに苦労する分野が数学Bと言えると思います。
数学3
数学3は高校数学の最後に学ぶものなので、難しいと思っている人もいるかもしれませんが、実はそれほど複雑ではありません。というのも、今までに数学1や数学2で考えてきた内容を拡張して考えるものが多いからです。具体的には「極限」や「微分・積分」について学びます。どちらも数学2までの考え方が習得できていればそれほど難しくは感じないでしょう。数学3で難しい点を挙げるとするならば、計算が複雑かつ膨大になるため、それを正しくかつ素早く処理する力が必要となることです。大学入試では解答しか求められない場合があります。そのため、方針や途中計算が合っていたとしても記述式解答でなければ0点になってしまいます。数学3が入試で求められるならば、日頃から計算練習を怠らないようにすることが大切です。特に、共通テスト直前は数学3の学習が疎かになり、そのために計算力が著しく低下します。国立大学を目指して共通テストを受験するならば、受験後は計算練習を増やして感覚を取り戻しましょう。
数学C
数学Cでは、旧課程の数学Bに含まれていた「ベクトル」と、数学3に含まれていた「複素数平面」を学びます。ベクトルの範囲では、これまでの数学にはなかった「向き」という考え方を取り入れます。向きと大きさを同時に考えることで、座標の問題や図形の問題を簡単に解くことができるようになりますが、それを実感できるまでにはたくさんの計算練習が必要となります。複素数平面に関しては、新しい考え方を習得しないといけない部分もありますが、ベクトルの考え方を拡張して理解することもできます。数学Cで学ぶ内容は大学の数学でも重要になるので、情報を整理して正しく理解できると良いです。
まとめ
数学1から3に関しては、それぞれの段階を積み上げていけば無理なく習得できる構成になっています。それに対して、数学A、B、Cは、それぞれが独立した考え方で成り立っている部分が多いです。個別に学習する必要のあるものが多くなる分、やや数学1から3と比べると難しく感じる人が現れやすいでしょう。
高校数学の各分野の特性を理解し、しっかりとした勉強計画を立てましょう。