高校生の皆さんこんにちは、今日はmolの計算についてお話していきたいと思います。
高校化学には必ずついて回るmolですが、聞いただけで嫌な気分になる人もいるかもしれません。
物質量の単位として頻繁に使われるmolですが、どうにもイメージしにくいものです。
まず物質量と言う名前からして堅苦しくて理解を妨げる原因となっています。
どうしても頭に入ってこない人は、まずは意識改革からしてみると良いかもしれません。
目次
- ○ molとダースは同じ感覚
- ○ 機械的に計算することも可能
- ○ 単位計算の方法
- ○ 複雑な計算の方法
- ○ 最後に
molとダースは同じ感覚
次の文章を比較してみてください。
と
この二つの問題文は、ほとんど同じ意味で、全く同じ計算過程で答えを出すことが出来ます。
つぎに、さらに②の問題文を優しく書いてみましょう。
ここまでかみ砕いてしまうと、小学校の算数の問題のレベルになってしまいます。
つまるところ、molとはその程度のことでしかないのです。
分子や原子はとても小さいので、私たちが知覚できるくらいの大きさを扱うときに1mol個=6.0×10^23個と言うまとまりの単位を使っているに過ぎないのです。
機械的に計算することも可能
molとダースが同じ感覚で使える単位であることが理解できると、簡単な問題はどうと言うことはなくなると思います。
ここまでは、皆さんすぐ到達できるのではないかと思いますが、複雑な問題になったときに困る方が出てくるかと思います。
実は化学に限らず、物理も同じなのですが、問題文に与えられている数字を数式化するときに機械的に処理する方法が存在します。
それは、単位計算と言われるもので、与えられている量の単位と答えの単位のみに着目して計算する方法です。
文章で言ってもちょっとわかりにくいので、具体例を挙げておきます。
単位計算の方法
2molの水分子は何gか求めなさい。と言う問題があったとします。
水分子のモル質量はH=1・O=16になりますので18(g/mol)となります。
ここで、与えられている量の単位は水分子の物質量molとモル質量g/molです。
それに対して答えとして要求されているのは水分子の重さgとなっています。
これを数式化すると
2(mol)×18(g/mol)=36(g)
となります。
では次に、単位のみに着目してみますと
mol×g/mol=mol
となっていることがわかるかと思います。
単位のみに着目し、単位を文字式として計算しても辻褄が合うことがわかるでしょうか。
このように、最終的に答えの単位と同じ単位になるように掛けたり割ったりしても、ちゃんと答えが出るようになっています。
これを単位計算と言い、先ほども言いましたが物理でも通用するテクニックとなっています。
複雑な計算の方法
いま上げたのは、教科書の例題レベルの問題で、慣れればすぐに機械的に処理できるようになるものです。
皆さんが実際に困るのは『○○mol/Lの硫酸と□□gの鉄を反応させて・・・出てきた気体が何Lか求めなさい』
などのような、異なる単位系どうしで計算する場合ではないかと思います。
結論から言いますと、基本的に異なる単位系同士で計算は出来ません。
まずここを徹底することです。
慣れるまでは、与えられた量をすべて物質量(mol)に変換する癖をつけましょう。
もうこれは条件反射的に行うレベルでも問題ありません。
数学で言うならば、『二次関数を見たら平方完成と判別式』と同じ次元です。
苦手な人は、問題を解こうとか考える前に図を描き(この問題ならばビーカーに液体と金属が入っていて、気体が発生している図)書いた図に全ての物質量を書き込みましょう。
ここまでの作業は、教科書の例題レベルですので難しくありません。
そしてこの図を描いた後に初めて問題を解きにかかるのです。
そうすれば、脳で処理するタスクを減らすことが出来ますので、より解答に使うリソースを増やすことが出来ます。
その結果たとえ問題が解けなくとも、問題集の解説を読んだときに自力で理解できる確率が上がることでしょう。
さらには、図を描くと言うプロセスを経ることにより、理解した問題の定着度も飛躍的に向上するはずですので、めんどくさがらずに練習してみてください。
最後に
私は、理論化学の授業をすることもありますが、いまだに簡単な問題でも必ず図を描くようにしています。
これは、板書のためと言うのもありますが、文章から図に起こすことによってより視覚的に現象を理解し、ミスを減らす要因にもなっています。
図は下手でも問題ありませんし、これと言った定型。ルールもありません。
皆さんが自分で理解しやすく、描きやすい図を描けばいいのです。
図を描いて考える癖は、数学の記述の答案の説得力を上げることにもつながりますので日々の勉強の中で練習していってください。