今回は大学入試数学における思考力について考えていきたいと思います。
目次
大学入試数学における数学的思考力をどうやって身につけるか
入試問題において今まで解いたことがある問題・問題集に載っているのと同じ問題しか出題されないということは滅多になく、レベルが上がっていくにつれてほとんど見たことがない問題を解く機会が増えていくと思います。入試における思考力とはそのような初見の問題に対してどのようなアプローチを取るかという問題を打破する力になると思います。問題設定からどういう式を立てるか、正しい式でももっと簡単な解法はないか、など思考力は普段の問題演習で培っていく必要があります。
既知の問題を使う
先に述べたように過去に解いた問題と全く同じ問題に遭遇することは稀ですが、例えば多少状況が違うだけで求めるものは同じであったり、逆に状況がほとんど同じで求めるものが多少違ったりという問題はよく出題されます。特に〜中堅レベルの大学ではこのレベルの問題が多くを占めるので、簡単な応用は必須です。このレベルの応用は「解法についての理解」が必要になってくると思います。例えば、チャート式の基本例題レベルの問題であれば、「解法を暗記する」という程度でも良いかもしれませんが、重要例題などのレベルであったら、解法自体を暗記する意味はあまりありません。それよりもむしろ、「どうしてこの式を立てるのか」「どうしてこういう計算をしようとしているのか」を考えることの方が重要です。もちろん自然な発想として立式から計算までできたという人はそこまで時間をかけてこれについて考える必要はありません。その人は他の解法はないか、などを時間をかけて考えると良いでしょう。
複数の解法を検討する
例えば平面図形問題に対しては
・幾何(数学Aで用いる知識など)
・座標系
・ベクトル
・複素数平面
など複数の解法があるということはよくあります。また、上記の中で複数の分野の知識を使うこともあるでしょう。特に、他の解法を選んだ際にも幾何の知識は必要になりやすいです。それぞれの解法には得意な処理・不得意な処理があり、どの解法でも解けることには解けるけど、かかる時間に雲泥の差があるということはよくあります。一つの問題に対して複数の解法が考えられるというときは、いくつかの方法でそれぞれ解いてみるということをしてみても良いでしょう。そこで例えばベクトルの解法ではこういう処理が難しくてなかなか答えに辿り着けなかったということがあったら、ベクトルではこういう処理が苦手なんだなとか、複素数平面ではこういう条件が簡単に立式できるから複素数平面はこういう問題に強いとか、そういう違いを体感することによって得られると思います。もちろん、模範解答をみてベクトルは長いとか、複素数は短いというところで判断してみてもいいですが、実際に自分で計算してみるとよりその違いを自分のものとして「理解」できると思います。
模範解答に固執しすぎない
問題集や過去問の模範解答に固執しすぎるのはやめましょう。もちろん、こういう発想もあるのか、という視点は大切です。しかし模範解答はたいての場合、「数学のプロ」である予備校の先生などが書いています。彼らには受験生とは比べ物にならない量の背景知識や経験があります。それらのもとで生まれた発想が受験生からしたら「不自然」に見えることは珍しくありません。模範解答を見て「どうして」と思う箇所があったら、自分が今持っている知識や感覚で「自然」だと考えられる発想も見てみましょう。その上で、その解法も正しければそちらを使ってもいいですし、その解法が間違っている場合には、この解法はこういうところで間違っている、こういう問題には対応できない、ということを学ぶことができます。
思考力をつけるには
ここまで、問題へのアプローチを考えてきました。では実際に問題演習で思考力をつけよう、となったらどうすれば良いでしょうか。一番いいのは、「初見の問題集や過去問に手を出してみる」ということだと思います。ただし、これについては基礎学力がなければ効率がかなり悪くなってしまうので、基礎がまだという人はそちらを優先しましょう。問題を見て、自分であれこれ考え計算し、模範解答をみて、他の解法がないか検討してみる。同じ問題をやっている友達がいればどのような方法で解いたか相談してみる。これの繰り返しで思考力が上がっていくのではないかと思います。また、分野別になっている問題集に対しては、「分野がわからないようにしてとく」といった工夫をしてみるといいかもしれません。例えば、チャート式などでも全分野の問題をコピーしてその中から無作為に選んで解いてみるなどの方法です。特に、問題の上に題名などがついているとそこから解法を推測してしまいがちなので、何の問題かわからない状態を作ってみると良いと思います。
最後に
いかがだったでしょうか。今回は数学の思考力について考えてきました。世間には「青チャートと過去問だけやっていれば大学入試は十分」という人もいますが、個人的には不十分だと思います。(もちろんそれで合格する人もいるとは思いますが、それは一握りだと思います。) 青チャートレベルの問題集は十分できるのに、模試だと点数が取れないという人などは、受験が近くなるにつれて初見の問題に挑戦してみる時間を設けてみると良いと思います。ただし今回話したのは一例であり、個人的な意見に過ぎません。大学の偏差値帯や問題傾向にも大きく影響されます。あくまで最後は自分に合った方法を見つけるという目的で、この記事を参考にしていただくと幸いです。
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