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大学入試生物とは
大学入試において「生物」という科目は理科の中でも比較的マイナー科目ではないでしょうか。実際、令和3年度大学入試共通テストにおいて化学、物理の受験者はそれぞれ15万人前後であったのに対して、生物受験者はその3分の1である5万人程度であったことからも明らかでしょう。そのため、この情報社会の現代においても化学や物理と比べ、生物という科目に対する情報は手に入れにくいのではないでしょうか。そこで今回、私自身の医学部受験の経験から生物に必要な力とその力をつけるための参考書・問題集を紹介したいと思います。
知識力
「化学、生物、物理のうち生物にはどういうイメージを持っていますか?」と聞くとおそらく大多数の人が「暗記科目」と答えるのではないでしょうか。その答えは半分正解です。実際、入試生物では穴埋め問題や正誤問題などの知識問題が多く出題されます。また実験考察問題についても、自分の知っている知識をもとに考察しなければならない問題もあります。従って生物において知識を身につけることは必要なのです。そこで生物の知識力をつけるためのオススメの問題集を紹介します。「知識を身につける」という点では「生物用語の完全制覇」という参考書がベストだと思います。この問題集は収録されている問題213題全てが生物用語の問題であり、メジャーな用語からかなりマイナーな用語まで扱っているので非常に網羅性も高いです。ただ欠点として図が少なく文章が非常に長いので分かりにくいところがあります。なので資料集などと並行して使えば、より良い学習に繋がるのではないでしょうか。
考察力
入試生物において合否の分かれ目になるといっても過言ではないのが実験考察問題です。多くの生物受験生が実験考察問題に苦手意識を持っているのではないでしょうか。実験考察問題でありがちなのが長く複雑な説明文のせいで内容が入ってこない、理解できないという現象ではないでしょうか。しかしながら落ち着いて文をよく読めば行っている実験は比較的シンプルなことが多いのです。長い文章だからといって焦ることなく落ち着いて1つずつ実験過程を理解するようにしてみてください。そこで私が実験考察問題の演習としておすすめする問題集は標準問題精講です。この問題集の良いところは解答解説が非常に詳しく、考察問題を解く上でのアプローチの仕方などを知ることができます。ただしかなり難問を扱っている参考書でもあるので難しすぎると感じた場合にはセミナーのような問題集の考察問題でも適切に取り組めば十分な力がつくと思います。
記述力
これは受験において記述問題が出題される大学を受験する受験生だけに該当します。知識力があろうが、考察力があろうが記述する力は別物だと私は考えます。例えば「DNAとRNA
の違いを述べよ」という問題があった時、「DNAの糖はデオキシリボースで塩基はアデニン、グアニン、シトシン、チミンである。RNAの糖はリボースで塩基はアデニン、グアニン、シトシン、ウラシルである。」と回答した時、これは適切な回答でしょうか。確かに知識としては間違っていません。ですが聞かれているのはDNAとRNAの「特徴」ではなく、「違い」です。よって答えるのであれば「DNAの糖はデオキシリボースで塩基はアデニン、グアニン、シトシン、チミンである。一方RNAの糖はデオキシリボースではなく、リボースであり塩基はチミンの代わりにウラシルを持つ。」と答えるのがより適切ではないでしょうか。このように知識を正しく身につけていても、実験考察問題が正しく理解できていたとしても記述問題に正解できる訳ではないのです。そこで記述力が身につくオススメの問題集が「大森徹の生物記述・論述問題の解法」です。これは記述の書き方にフォーカスして、様々な記述問題の記述の書き方について扱っています。受験で記述問題が出題される大学を受験するのであれば、取り組んで損は無い問題集だと思います。
最後に
入試生物で問われる力「知識力」「考察力」「記述力」について説明してきました。この3つの力を身につけることが入試生物を乗り越えるための必要条件だと思います。ただし、この記事の内容はあくまで私個人の意見にすぎないので参考程度にしていただき、もし私が紹介した問題集に興味を持ったならば、一度本屋で自分の目でその問題集を確認してみてはいかがでしょうか。