目次
- ○ ベクトルはなぜ難しいのか?入試問題が解けるようになるコツを解説
- ○ そもそもベクトルとは?
- ○ ベクトルが難しい理由
- ・①考え方に馴染むのに時間がかかる
- ・②問題ごとに工夫が必要
- ・③計算がやや大変
- ○ ベクトルの問題を解くコツ
- ・コツ①
- ・コツ②
- ・コツ③
- ○ まとめ
ベクトルはなぜ難しいのか?入試問題が解けるようになるコツを解説
今回は、旧課程の数学Bまたは新課程の数学Cで登場するベクトルに関する解説です。
小学校から扱ってきた数学の考え方に、全く異なる考え方を追加した分野がベクトルです。そのため、直感的に理解することが難しく、慣れないとスムーズに計算を進めることができないです。
ベクトルとはなんなのかといった基本的な内容から、どうすればベクトルの入試問題が解けるようになるかまで詳しく解説しますので、ベクトルが苦手な受験生はぜひ参考にしていただければと思います。
そもそもベクトルとは?
数学Bもしくは数学Cで登場するベクトルは、これまでに学んできた数学とは異なる考え方を取り入れた分野です。
小学校から学んできた数学で出てくる数字は全て、スカラーという数字の大きさのみを表す概念でした。それに対してベクトルは、数字の大きさに加えて向きも同時に表します。そのため、ベクトルを図示する際は矢印を用いることが多いです。
向きを同時に表す概念を取り入れることで、複雑な幾何の計算を簡単に解くことができる点が、数学でベクトルを勉強する一番のポイント だと言えます。数学以外では、物理で力の向きを考える際にもベクトルを利用します。
ベクトルが難しい理由
ベクトルの単元が難しい理由を今回は3種類紹介します。 自分がどこでつまずいているかをよく考えて対策を練ることができると良いでしょう。
①考え方に馴染むのに時間がかかる
前述の通り、ベクトルはこれまで小学校や中学校で慣れ親しんだ数学の考え方とは異なる考え方を必要とします。大きさと向きを同時に持つ単位に慣れることができないと、スムーズに内容を理解することが難しいです。
また、スカラーの計算のように和や差を計算することはできますが、向きが存在するため意味合いは異なる点に注意が必要です。
さらに、一般的にはベクトル同士の積というものは定義できず、代わりに2つのベクトルのなす角度に注目した内積や外積と言った計算が用いられます。
これらの新しく登場した概念にスムーズに慣れられるかどうかで、ベクトルを難しいと感じるかどうかも決まってくる でしょう。
②問題ごとに工夫が必要
ベクトルの範囲では、基本的な計算方法は教科書に載っているものを学習すれば十分足ります。
難しいのは、教科書の知識を組み合わせながら初見問題に取り組むことです。
入試問題でベクトルが出題される場合は、小問の最初で簡単な計算を行わせ、そこから誘導を交えて難しい問題を解くことがほとんどです。誘導の意味を深く考えつつ、問題ごとに的確な工夫を必要とする点が、ベクトルの入試問題を難しくしている要因の一つです。
③計算がやや大変
ベクトルの一次独立性に着目して立式するような問題では、未知数が複数出てきて、数式も3本程度になることが多いです。
普段から計算練習を行っていない場合は、文字の量が増えた計算をスムーズに行うことに抵抗を感じるでしょう。また、どのような式を立てていけば計算がうまく進むかを常に考えながら解いていく必要のある点もベクトルを難しくしています。
設定の仕方一つで、問題が急激に簡単になることもあるので、普段から計算練習をするだけでなく、計算を省略する解法についてもよく考えると良いですね。
ベクトルの問題を解くコツ
最後に、ベクトルの問題を解くコツを紹介します。
コツ①
基本的な計算を確実に身につける
ベクトルにおいては、解答の際に使える考え方やツールが限られているため、まずはそれらを自由自在に使いこなせるようにすることが大切です。
>内積の計算・ベクトルが一直線上に存在する条件・ベクトルの存在範囲などは、特に応用が効くポイントなので、絶対に疎かにしてはいけません。
基礎を正しく押さえることで、初めて応用問題にも取り組めるようになることをよく覚えておきましょう。
コツ②
問題のパターンを整理する
問題ごとに工夫は必要ですが、ベクトルは問題のパターン自体は多くない部類に入ります。
それぞれのパターンについて十分に練習し、初見問題でも、今までの知識をうまく活用して解答できるようにすることが大切です。
ベクトルと図形が関連する問題は非常に出題率が高いので、正しく図を描く練習をしたり、ベクトルを用いて辺の比を素早く出せるようにしたりすると良いです。
コツ③
計算に慣れる
最も基本的なことですが、意外と疎かにしている受験生は多いです。
二次試験では時間が十分にあるので多少の計算力の差は問題になりませんが、 制限時間の少ない共通テストでは、計算力の差が合否を分けます。
ベクトルは高校生になって新しく習う考え方なので、練習量は他の分野の計算に比べるとどうしても少なくなります。まずはベクトルの和や差を素早く求められるかどうかを確認し、苦手を感じるならば、基本的な計算練習を数多くこなすようにすると良いでしょう。
まとめ
ベクトルは非常に便利な考え方ですが、使いこなせるようになるためには多くの時間が必要となります。また、これまでに習った数学にはない向きという考え方がプラスされているため、それに慣れる意味でも、たくさん計算練習をすることが大切です。