今回は『理論化学』に的を絞り、さらに分野ごとに見ていきたいと思います。
最終的には理解して演習すると言う流れですが、各分野ごとに気を付けておくことはありますので、私自信の経験も踏まえてお話していきたいと思います。
目次
物質の状態変化
「物質の三態」「気液平衡」「蒸気圧」について学びます。
この分野は比較的難易度も低く、理解しやすい単元になります。
素早く終わらせて次の単元に行きましょう。
溶液の性質
この単元では希薄溶液の性質として「蒸気圧降下」「沸点上昇」「凝固点降下」「浸透圧」を学びますが、モルの計算がそれなりに複雑な形で出てきます。
それでもやはり難易度はそこまで高くありませんので、学校で配られた問題集を完璧にして次の単元に行くようにしてください。
気体の性質
この単元では気体の状態方程式がメインとなります。
まずはPV=nRTの意味を『文字』としてではなく『量』として認識すると良いでしょう。
この分野では、気体の状態方程式を使って様々な公式が導かれていきます。
それらを、元となる気体の状態方程式と比較しながら考えていけば覚える公式は激減しますし、使い方も理解しやすいでしょう。
それが出来るようになったら、混合気体や、気液平衡状態にある気体の問題にも手を出せるようになるはずです。
固体の構造
この単元のメインは結晶格子の計算問題になると思います。
「面心立方格子」「体心立方格子」「六方最密構造」を基本として習いますが、苦手に感じた方は立体的なモデルを実際に見たほうが理解がはやいかもしれません。
問題自体はかなりパターン化されていますので、こちらも学校の問題集を完璧にしておけば問題ないでしょう。
熱化学
ここら辺からかなり難しくなってきます。
新課程から、「エネルギー」ではなく「エンタルピー」と言う名称を使うようになり、聞きなれない言葉に戸惑う方も出てくるでしょう。
この単元で重要なのは熱化学方程式の立て方と解き方になります。
簡単に言ってしまえばただの連立方程式なのですが、いかんせん文字が多いのが混乱を生じさせる元となっています。
またエンタルピー図(エネルギー図)も初めのうちは書くのに苦労する人もいるようです。
この単元では、とにかくエンタルピー図を書きまくるようにすると良いです。
熱化学方程式とエンタルピー図は比較しながら何度も書いていればそのうち体になじんできます。
それさえクリアできればこの単元はマスターしやすくなりますので、めんどくさがらずに書きまくってください。
電池・電気分解
まずは、酸化還元反応です。
この理解が出来ていないと、この単元ははじまりませんのであやふやな方は化学基礎に戻ってやり直しましょう。
そしてこの単元の問題は酸化還元反応の式覚えておかなければ何もできないと言うところにあります。
酸塩基反応よりも複雑で高校の内容では反応の仕組みを説明できないような式を無理やり覚えたうえで、電池の仕組みを理解してモルの計算なども出てきます。
この単元からわからなくなる方が一番多いのではないでしょうか。
ちょっとしんどい時は、酸化還元反応の理解にとどめ、電池は一番基本的なものを一つ覚えておくに留めるという選択肢もあります。
それ以外は一旦置いておいて、理科の学力が底上げされてから再び取り組むと言う方法も一つの選択肢です。
実際私が高校生の時はそうしました。
反応速度と化学平衡
さらっと単元をまとめて書きましたが、ここがおそらく理論化学最大の難関と言えるでしょう。
共通テストならまだしも、東大や京大レベルでのこの単元の問題は相当に高いレベルとなります。
この単元を学習する際は、最終的にどのレベルまで仕上げるか考えて取り組むと良いかもしれません。
難関クラスを想定した場合、共通テストで理科は9割ほしいところですので、共通テストレベルまではきっちり仕上げる必要があるかと思います。
ですが、二次試験レベルになるとこの分野を最悪捨てると言う選択肢もあり得ます。
大学にもよりますが、二次試験が理科2科目受験だった場合に合格に必要な点数が6割程度であったとします。
計算に恐ろしく時間を取られる平衡化学を後回しにして、それ以外の分野で6割を取ると言う作戦もあり得るわけです。
(実際私はその作戦で京都大学に合格しています。そのかわり、有機化学はほぼ満点です。)
最後に
数学だって物理だって同じはずです。
得意な単元・苦手な単元は誰にでもあることです。
苦手な単元は誰にでもあるでしょうし、克服するに越したことはありません。
ですが、時間が有限である限り勇気をもって理解不十分な単元を一度スルーすることも重要ではないでしょうか。
受験生の皆さんには、残された時間と必要な点数から逆算して、自分をマネージメントする力も必要だと思います。
今までたくさん難関大学に合格していく受験生を見てきましたが、自己診断能力の高い方が多かったように思います。
皆さんが、受験勉強を通して学力だけでなくこのような力も身に着けて大きく成長されることを祈っております。