ですが、MARCHや地方国公立大学そして一部の私立医学部では理科1科目で受験が可能なパターンが存在します。
今回は入試科目に理科が1つしかない大学を第一志望校とした方や、共通テストでは2科目だけど個別学力試験では理科が1科目しかないと言う方向けに『物理』と『化学』の選択についてお話していきたいと思います。
目次
物理という科目の特徴
ラプラスだったでしょうか、『数学は物理学のための道具』と言った言葉があるようです。
必ずしもそうとは限りませんが、かなり的を得た表現だと個人的には思います。
皆さんは、数学と物理の違いをどのようにとらえているでしょう。
数学は、問題文を読んだあと図を書いて立式して証明していくと言った流れを取ります。
これに対して物理も同じ手順で問題を解いていきます。
どちらも公式を問題に当てはめていくという作業があり、本質的に同じようなことをしているように感じることもありますが、両者には決定的な差があります。
数学は公式の当てはめ方・使い方に重点が置かれているのに対して、物理は公式の意味の理解に重点が置かれていると言うことです。
もっとわかりやすく言うと、『数学の文字には意味がない』が『物理の文字には意味がある』と言ったところでしょう。
数学においてXはXでありYはYです、ただの変数でしかありません。
しかし物理においてはVはvelocity(ベクトル量を持つ速さ)ですし、Mはmass(質量)です。
もちろん数学においても量的な文字を使うこともありますし、物理でただの変数を使うこともありますが、大まかにこのような認識が成り立つと言えるでしょう。
化学という科目の特徴
化学とは『化ける学問』ですので、物の変化を扱っていきます。
ですがちょっと困ったことに『理論化学』『無機化学』『有機化学』の3分野に分けた時に各分野ごとにかなり様相が異なります。
『理論化学』の分野ではあまり物質が化けていません。
ですが、『無機化学』『有機化学』の分野ではちゃんと”ばけ”学をしています。
こんなことを言うと「理論化学って”ばけ”学じゃないじゃん!」なんて思う方も出てくるかもしれません。
ですが、物理のところで出てきた『数学は物理学のための道具』と言う言葉を化学に当てはめるとこの問題は解決します。
『理論化学は無機化学・有機化学のための道具』
理論化学に数学が必要ないとは言いませんし、実際大学では化学の分野でも高度な数学を多用しますが、少なくとも高校の範囲では物理よりも数学の影響を受けにくいと言う特徴があります。
また、物理に比べて覚えなければいけない内容がかなり多いと言う特徴もあります。
物理向きの人・化学向きの人とは
必ずしもそうとは限りませんが、私の経験では数学の得意な受験生ほど物理の点が高い傾向にあります。
ですので、『自分は数学が得意だ!』と言う方や志望大学の必要偏差値に対して数学力が十分であれば物理を選択すると無難かもしれません。
反対に数学に少し不安があれば、化学を選択すると良いかもしれません。
また、こちらは感覚的なものになりますがもう一つの判断材料も上げておきましょう。
理科=自然科学においては、現象の理解やイメージが非常に重要になってきます。
例えば物理であれば、身の回りに存在する物質に対してかかっている力をベクトル表記してみてください。
目の前に力学的なモニターをイメージ出来るのであれば物理に適性が高いと言えるでしょう。
化学であればカルボン酸を見た時に『酸っぱいかもしれない』と想像したり、エステル結合を見た時に『壊れそうだな』と思えれば適性が高そうです。
ちょっと変な例えとなりましたが、物理・化学の適性の判断はどちらの科目の現象がより理解・イメージしやすいかを考えると良いと言うことです。
それでも最終的には好き嫌いでしょう
いろいろ書いたりしましたが、最終的にはやはり、好き嫌いで決めたほうがいいかと思います。
1科目しか使わない方であれば、1科目に絞って勉強していくわけですから途中で科目を変更することは極めて困難です。選んだ科目が好きな科目であるなら最後まで頑張り続けることが出来るでしょうが、嫌いな科目であれば途中で心が折れる可能性もあります。
最後は精神論になってしまいますが、人間思い込みも大事です。
『物理はあまり好きではないけど、データ的に物理のほうが適性があるらしいから頑張ろう・・・』
と言う気持ちで勉強するよりも
『データ的には適性が低いが、物理はなんだか面白いし頑張ろう!』
と言う心持のほうが前向きで良い結果が出るはずです。
理系で受験する限り、理科はかなりの高配点となるでしょう。
そんな科目と最後まで付き合っていくなら私は好きな科目のほうが良いと思います。